
『焼きしそ巻きができるまで』
宮城県鳴子温泉で、カチミばあちゃんが焼きしそ巻きを造りはじめてから約50年。どんな製法をもってして焼きしそ巻きはつくられているかに迫ります。その謎を解くカギは全て「手造り」というところにあります。

①【味噌つくり】伝統の甘みそをベースにくるみやごま、隠し味に七味唐辛子を少しだけ加え、五右衛門風呂のような大きな釜で30分程グツグツと煮込んでいきます。小麦粉や砂糖が溶けてきたら、焦げないうちに手早く取り出します。

②【しその葉を切る】「ちりめんしその葉」という通常よりも2倍以上も大きいサイズの特別なしその葉を契約農家さんで生産しています。手のひらサイズもある大きなしその葉を、手巻きしやすいように茎の部分のみ裁断していきます。

③【手巻きする】釜で煮込んだ味噌を冷蔵し、包餡機という機械に入れると、俵上になった味噌がベルトコンベアから流れてきます。流れてきた味噌を自分の手元に用意したしその葉でクルクルと丸めながら丁寧に巻いていきます。

④【鉄板の上で焼く】巻いたしそ巻きを分厚い鉄板の上に並べて1本1本転がしながら焼きあげます。温度が高すぎると焦げてしまうし、低すぎても半なまになってしまう為、絶妙な火加減を維持しながら焼いていきます。

⑤【油をしっかりと落とす】油で揚げているしそ巻きとの違いを出すため、徹底して油分をとります。焼きあげたしそ巻きの粗熱をとった後、何枚も重ねたキッチンペーパーを敷いた箱へと移し替えます。さらに冷蔵庫で2日以上冷却するとしその葉がパリパリになります。

⑥【パックに詰める】手巻きをして焼きあげたしそ巻きは1つとして同じ形のものはありません。その為にパックへ詰める時は焼きしそ巻きの大きさや硬さを確認しながら、1本1本丁寧にパック詰めしていきます。

⑦【できあがり】こうして全ての工程を手作業で製造することによって、焼きしそ巻きはできあがります。人の手による微妙な調整が要求される製造工程は今の時代であっても機械化することができません。その為決して効率がいいわけではないですが、たくさんの人の力があってこそ焼きしそ巻きは完成するのです。